四葉ボックス

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【彼方のアストラ】#01 PLANET CAMP 宇宙の彼方で遭難!? 緊張感と高揚感溢れる素晴らしい滑り出し

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四葉です。

今、めちゃくちゃテンションが上がっています。

この胸の高鳴りを言葉にしたい!!!

何があったかって、『彼方のアストラ』のアニメ1話を見たんです。

何言ってるんだこいつと思わず、もう少し読んでくださいお願いします。本当に素晴らしい作品なんです。

 

……すみません、ちょっと熱くなりました。

えっとですね、ジャンプ+で連載されていた全5巻『彼方のアストラ』というコミックがあるのです。

こちらの記事でも少し取り上げていますが、もう本当素晴らしい作品なんです。

yotsuba-box.hatenablog.com

SF、冒険譚、コメディ、そしてミステリとガジェットてんこ盛りで全部の要素が輝いています。

 

その作品がアニメ化ということで、どんな感じになるのかなと期待半分不安半分でしたが杞憂もいいところでした。

とても素晴らしい1話だったので、ご紹介していきたいと思います。

(以下、アニメ1話のネタバレ有りです。原作のネタバレは基本的にしていません。※アニメで原作から変更があったシーンに関しては原作の説明をしています)

あらすじ紹介 初回は1時間、原作の2話までを消化

アニメの第1話はなんと1時間ものボリュームとなっています。

めっちゃ気合入ってますね!

そして少し見ただけでこれは凄いクオリティの作品だ……と驚くことになりました。

 

1話のあらすじを説明すると、

 

学生だけで5日間を別の惑星(惑星マクパ)で過ごす「惑星キャンプ」にアリエスたち9人が参加します。

しかし惑星到着後、謎の球体に皆飲み込まれ宇宙に放り出されてしまいます

そこに漂っていた宇宙船に乗船し一段落する一行でしたが、そこはさっきまでいた惑星マクパではなく、5012光年も離れた宇宙の彼方でした。

宇宙船は動くもののかかる時間はざっと3ヶ月。3日分程度しか水と食料はなく、帰還は絶望的に思えました。

しかし惑星を経由して帰る方法を思いつき、帰るルートを1つだけ発見することができます。

アリエスたちは次の星ヴィラヴァースに向かって、「アストラ号」と名付けた宇宙船を発進させます。

 

原作では1話と2話にあたる部分を消化しました。

音の効果に圧倒

さて、アニメになると、動きが生まれることに加え「音」という要素も付加されます。

声優さんの演技が素晴らしく、どのキャラクターもそれぞれの個性が立っていてすごくぴったりな雰囲気だと驚きました。プロ凄い。

 

そしてBGMもバッチリでした。

宇宙に放り出されたシーンのBGMでは物凄い緊張感を感じ、

ギャグパートでは間の抜けたBGMでくすっとし、

そして次の惑星を目指して出発するラストの壮大なBGMで得も言われぬ高揚感が。

原作にないシーンもまた素晴らしい

アニメは原作と完璧に一致しているというわけではなく、追加シーン・変更シーンも当然あります。

それがどれも良い描写でして、感心しきりでした。

カナタと先生の過去

カナタと先生のエピソードがより掘り下げて描写されています。

将来のことについて悩むカナタに、先生は道を示してくれます。

「向いてるかどうかじゃなく、やりたいことをやればいい」

さらに崖でのシーンも多めに描写されていましたね。

この2人のやり取りを掘り下げることで、カナタの決意が一層引き立っていると感じました。

手を差し伸べて

アリエス救出

原作ではワイヤーを外してアリエスを救出後、スラスターの残りを使ってワイヤーのところまで戻って皆に引き戻してもらっています

アニメではここが大きく変わりました。

カナタは残りの僅かな推進剤を使い切って船へと進みますが、若干進路がずれてしまったことで戻れなくなってしまいます。

万事休すかと思われた時、フニシアがキトリーの手を繋いだのを見て、ザックが閃きます。

皆が手を繋いで「人間のはしご」となり、カナタとアリエスを救出することに成功します。

自己紹介

全員が乗船した後に、自己紹介が始まります。

原作ではこのシーンはないんですが、おおっと思いました。

ついさっきカナタに「手を繋いで」助けてもらって心強く感じたことを皆に話し、手を繋いで自己紹介をする流れとなります。

1人、また1人と手を繋いでいって自己紹介をしていきます。

流れも自然ですし、皆の距離感が少し縮んだことも感じられてとても良いシーンだなと感じました。

帰還の糸口

原作ではアリエスの子供の頃の出来事をきっかけとして、少しずつ惑星を経由して帰る方法を思いつきます。

アニメでは上で書いた自己紹介で「手を繋ぐ」ということからカナタが惑星を経由する方法を思いつきます。

 

アニメでは「手を繋ぐ」ということを軸にして話を展開しており、綺麗にまとまっていて良いなぁと感じました。良改変ですね。

その他1話の「ここ好き」

以下、1話で好きだったシーンを。

・近未来感溢れる描写。最初のターミナルの近未来感や、宇宙服や装備にワクワクします。上のほうでも書きましたがアニメだと電子音も入るので、より一層それっぽく見えて入り込めます。それと、アニメ全体の絵が凄まじく綺麗です。細い線で緻密に描写されていて息を漏らすくらいに……

・カナタが大事に持っていた先生との写真。最初は光が入っていて先生の前身が見えませんでした。

1話ラストで宇宙に浮かぶ写真で全身が写され、先生の着ていたスーツと今カナタの着ているスーツが一緒ということがわかります。

・ヘルメットに表示されるスラスター(推進剤)の表示。

電子音とともに"EMPTY"という文字が表示されます。短いシーンですが緊張感の引き立つ良いシーンです。

・皆が手を繋いでいくシーンで、ウルガ—がフニシアの出したビーゴの手を繋ぐところ。同年代の子は拒否できても、小さい女の子の屈託のない行動に折れるウルガーが可愛い。ビーゴの手を握った後にその声に驚くのも可笑しい。

・最後に流れたオープニング

オープニング、めっちゃ格好良いです!! 早速何度もリピートしてます。

壮大な映画を観ているような1話

はい、ということで1話、

 

最高でした!

 

なんだか壮大な映画を観ているような感覚で画面に釘付けになっていました。

本当に良かったです。

 

そしてアニメ化を機に読み返したんですが、やっぱり傑作だなぁと思いました。

何度読み返しても良い作品は楽しめますね。

結構な回数読み返してますがそれでも飽きません。

 

連載していた当時、友人が私に勧めてくれて4巻まで貸してくれました。

読み始めたら一気読みでした。

面白くて、そして驚愕の展開にただただ圧倒され……そこからは毎週、ジャンプ+での更新を心待ちにしていました。

その時のワクワクをまた味わうことができるかと思うと、アニメ制作に関わってくださった皆さんに感謝しかありません。

未読の方はもちろん楽しめると思いますが、原作既読の私もとても楽しめたので、ぜひぜひアニメを見てほしいなと思います。

 

うつ病で趣味が楽しめなかった時期

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四葉です。

うつ病で休職して、今年の1月末日に退職しました。

思い返してみると、退職した後に記事は出してなかったなぁと思ったので、ご報告も兼ねて。

yotsuba-box.hatenablog.com

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今は在宅のお仕事をしながら、自宅療養中です。飲む薬の量は若干減りましたが、病院にはまだ通い続けています。

 

初めて病院に行ったのが2016年の8月ですから、もうすぐ3年も経つんだなあ……と遠い目になります。

 

精神疾患は、症状が治まり安定するまでかなり時間がかかる(当然個人差あり)ということは知識では知っていましたが、実際に自分が当事者になってみると時間が経ってもなかなか思うようにいかず焦ることもあります。

 

退職の意思を固めるまでは、休職の期限が切れてしまうということで焦りが生じていましたね、今思えば。

 

今はそういった期限というものもないので、比較的穏やかな気持ちで過ごせています。

 

まだ完璧には遠いですが、だいぶ安定してきた……ように感じます。

 

思い返してみれば、かなりひどい状態の時がありました。

 

うつ病の症状の1つに、趣味のものが楽しめなくなるというものがあり、私も例に洩れずそうなっていました。

 

その状態が特に顕著だったのは休職直後からの半年間くらいだったように思います。

 

症状が辛い→趣味で、辛い気持ちをなんとかしたい→楽しめないのでより憂鬱な気分に(以下ループ)

 

ミステリが大好きなのですが、全然楽しめない時期がありかなりショックを受けていました。好きなもののはずなのに、どこか冷めた目で見ている自分に気づいた時の辛さ……

 

あの本とかあの本とか、症状が治まった時に読んでいたらもっと楽しめたのかもなぁ……というのがいくつもあって、悔いは残ります。

 

でも、そんな状態から症状が改善されてきたことを喜ぶべきですね。

 

読みたい本は無数にありますし、これから楽しめていけたらいいのかなと思います。

本に付箋を貼ると劣化するという話

四葉です。

先月末に、静岡大学の付属図書館が付箋に関してこんなツイートをしていました。

付箋にページが張り付いて剥がれてしまっている……だいぶ悲惨な状況です。

 

1年ほど前にも、神奈川県立図書館が同じような注意喚起のツイートをしています。

昨日やっていたTV番組では、付箋だけでなく他の注意もしていました。

破れたページを補修しようとして、セロテープで貼ると余計酷いことになるので破れた旨を申告してくださいとのこと。

また、金属製の栞ページを破ってしまう危険性があるので、例えば紙製のものを使ってくれると嬉しいんだとか。

図書館の本は借り物なので、細心の注意が必要ですね。

金属の栞を使うのは自分の所有している本にするのが良さそうです。

 

さて、自分の持っている本で付箋が貼ってある本があるかなと調べてみました。

私は小説を買うことが多く、読んでいる時には栞を挟むことはあっても付箋を貼ることはほとんどありません。

ですが、小説でない本で一冊だけ、付箋を貼っている本がありました。

 

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ロバート・マッキーの『ザ・ストーリー』という本です。

 

この本は絶版で、購入した時点では定価の5400円の倍……約1万円の値段がついていました。

※今は3000円くらいになっているという悲劇。

※新訳版が昨年末に発売されていて、そちらは3500円くらいで買えます。

さて、そんなわけでこの本は結構な値段がしたわけですが、付箋で劣化すると聞いたので早速剥がしました。

思っていたよりしっかり貼りついていてヒヤヒヤしました。

ただ、付箋を剥がしても、貼った時に付着した糊によって劣化することもあるそうなので、本当に大事な本には付箋は貼らないほうが良いですね。

Apple Musicの無料トライアル期間は時間単位できっちり3ヶ月みたいです

四葉です。

iPhoneユーザーなのですが、音楽を聴く機能として"Apple Music"があります。

 

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こんなアイコンのやつ

 

3ヶ月少し前に、3ヶ月無料トライアルができますよ、というのを目にしたので早速始めてみることにしました。

こういう無料トライアル系は、最初の登録時にクレジットカードを登録することが多いです。

無料期間中のプランからの解約をユーザーが忘れれば自動で料金が支払われることになりますからね(もちろんそれだけでなく、サービスを気に入って継続して使用したい人がそのまま使えるというメリットもあるからだとは思います。実際そういう流れで使っているサービスありますし)。

無料期間だけ試して、それが終わったら解約しようと思ってとりあえずApple Musicを始めました。

3ヶ月使ってみてとても便利なサービスだということがわかりました。LINE MUSICの無料トライアルもやったことがありますが、こちらもとても使いやすいです。

ただ、今回はひとまずサービス継続はストップして、また使いたくなったら考えようと思いました。いつでも再開できますし。

 

が、ミスりました。

サービス終了日は、アカウント→登録の管理から確認することができます。

そこに5月23日まで、と書かれていたので5月23日いっぱいは大丈夫だと勝手に思っていました。

5月23日の夜、解約するのを忘れていてApple Musicを開いたら……

 

自動でサービス継続になっていました。

 

一瞬、!?となりましたが、すぐ理解しました。

おそらくこれは、日単位でなく、時間できっちり3ヶ月と決まっているということです。

例えば、ある日の正午に開始したら、一か月後の正午にサービスが終了するというように。

このあたりは利用規約とかすっ飛ばしていた私の責任なわけなので(多分どっかに書いてあるはず)しょうがないですね。

今月は月額980円を払ってサービスを利用しています。

 

皆さんも無料サービスの終了期間には注意してくださいね!

【ブラウザ版】ツイッターの新UIが、気づいたらモーメント編集可能になっていた、が……?

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四葉です。

ツイッターのモーメント機能はご存知でしょうか。ざっくり言うと複数のツイートをまとめることができる機能です。何かのイベント関係のツイートをまとめたり、好きなイラストをまとめたりと用途は様々。

今回はそんなモーメントについてのお話です。

新UIでモーメント編集不能

私はスマートフォンのアプリからツイッターを見ることが多いのですが、パソコンのブラウザからツイッターを使用する時もあります。

例えば、モーメントを作成、編集する時です。

これまではアプリ版でもモーメントの編集をすることができたのですが、いつしかブラウザ版でしか編集できないように変更になっていたのです。

しょうがないなー、と思っていたのですが先々月の末頃(4月26日)、それは起こりました。

「新しいツイッター」を試してみませんか、という通知が出てきました。

アップデートがいつも不評なイメージのあるツイッターなので、まぁ試しにやってみるかくらいの軽い気持ちでクリックしたんですが、これでだいぶ困惑することになります。

新UI(ユーザーインターフェース:この場合表示方法・デザイン等を指す)では、モーメントの作成ができなくなっていたのです(閲覧はできる)。

私はけっこうモーメントを作成していたので、困りました。

元のUIに戻すかーと思っていたら……戻せません。

 

待て待て待て、聞いてないぞ。いつでも従来のツイッターに戻せるとか書かれてなかった??

 

どうやら「従来のツイッターに切り替え」という項目がある人とない人がいる模様。どういうこと? バグか?バグなんですか? よくわからないけど詰んだ。

 

モーメント編集できなくなるなら、先に告知してよ!!(心の叫び)

画面に向かって叫んでいてもしょうがないので、フィードバックをお寄せください、のところから至って冷静な文面でモーメントについての不満を述べました。焼け石に水感が凄い。これ本当に改善してくれるんだろうか。

気づいたら編集できるようになっていた、が……

そんなわけで新しいUIのツイッターを使っていて、気づいたら1ヶ月が経っていました。

そして今日、久々にモーメントを見てみようと思いました。ひょっとしたら編集できるようになってたりしないかな、という期待を込めて。

すると……

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編集できるじゃん!!!!!!!

ちょっと待って、いつの間に編集できるようになってるんですか。告知ありました? 

私と同じような要望を送った人がたくさんいたのかもしれません。

なんにせよこれは嬉しいです。

てっきりひっそりとモーメントが消えていくのかと思っていたので。

モーメント編集できなくなって、ツイートを追加できなくなり1ヶ月経っていたので朗報でした。

しかし、ここでまたしても新UIの壁に阻まれることとなります。

個別ツイートからモーメントへの追加ができない

従来は、個別ツイート→矢印タップ→モーメントに追加 という手順でできたので、タイムラインに流れてきたお気に入りのツイートをその場でモーメントに追加できて便利でした。

しかし新UIではそれができません。

こんな感じでモーメント編集の画面から追加するしかないようです。

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しかもこれ、いいねしたツイートは無限に遡れるわけでなく、制限があります(そんなに戻れない)

ですので、ちょっと前にいいねしておいたツイートをモーメントに入れたいなーと思っても範囲外だと無理です。

うーん、なぜ個別ツイートから追加できないようになったのか……

要望は送りつつ、順応する

とりあえず、個別ツイートからモーメントへの追加ができると嬉しいという旨の要望を送ってみようと思います。応えてくれるかはわかりませんがやらないよりはやったほうがよいはずですし。

と同時に、今の形式に順応できるよう、使って慣れてみようと思います。ひょっとしたら新しいUIのほうが使いやすくなるかもしれませんしね。

 

アイデア出しはやっぱり歩いている時が一番という話

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四葉です。

新人賞に投稿予定の作品の構想を練っているのですが、物語を生み出すのは凄く難しいと痛感してばかりです。

割と前から気づいていたことではあるのですが、机に向かっていてアイデアが閃くことはなかなかレアケースです。

魔法少女は死亡する」という作品を描かれているシギサワカヤさんがこんなツイートをしていました。

そう! まさにこんな感じです!

私の場合は、散歩している時とお風呂に入っているときにアイデアが思いつくことが多いです。特に歩いている時が顕著な気がします。

 

実際、歩くという行為が創造性を高めるという研究がスタンフォードから発表されています(Stanford study finds walking improves creativity)。

この研究によれば、座っている人に比べ歩いている人のほうが、創造的な生産力が平均で60%も上昇したとあります。

しかも、歩くという行為の種類は問わないようです。

屋内のルームランナーで歩く場合・屋外を歩く場合、そのどちらについても、座っている人よりも創造的な生産力は上昇しているのだとか。

 

この研究でもう1つ面白いのが、作業の内容によっては座っていたほうが優れた結果となるものがあったということです。

創造性のある「発散的」な作業については歩いたほうが座っているよりも良い結果となっています。

しかし、答えが一意に定まるような「収束的」な作業に関しては座っていたほうが良い結果となったのです。

 

つまり、アイデア出しをするのには歩いている時にして、アイデアを積み重ねて固まった構想を形にするのには座って作業をするのが良さそうです。

 

でも、ついつい机に向かいながら色々考えがちです。潔く歩きに出てしまったほうが色々思いつくのはわかっているんですけどね……

とはいえ実家では犬を飼っているので、毎日散歩に出かける理由ができて助かっています。

そんなわけで、今日も今日とて散歩へ。

良いアイデアが降ってきますように!

『衣裳戸棚の女』ピーター・アントニイ 感想 後半でネタバレ【ミステリ】

四葉です。

今回は海外ミステリ『衣裳戸棚の女』の感想になります。

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あらすじ

名探偵のヴェリティは、ホテルの窓から窓を伝って隣室に入る男の姿を目撃します。

そのホテルに状況を説明しに行くと、その男が降りてきて人が殺されていると告げます。

しかしその部屋はドアも窓も鍵が掛かり、さらに不可思議な状況になっていたのです……

親切な挿絵

海外の小説を読んでいると、名前とそれがどんな人物だったかを繋ぎ合わせるのに少し苦労しますが、この作品はその点においてとても親切です。

新しい登場人物が現れると、その人物の挿絵が入るのです。

ですので登場人物がすっと入ってきます。親切設計でとても助かりました。

混みいった密室

上に書いたあらすじだけなら比較的シンプルな密室殺人のようですが、状況はかなりカオスなことになっています。

 

部屋の窓から中に入り、ドアから出て行った人物がいる。

部屋のドアから中に入り、窓から出て行った人物がいる。

部屋の衣裳戸棚の中には、手足を縛られた女性がいる。

そして部屋の窓とドアは施錠されていた。

 

謎だらけですね。

そして捜査していくと、誰も彼も怪しい人物ばかり……

かなり入り乱れたことになっているのに、状況がわかりやすいというのが凄いです。感心せざるを得ません。

ニクい終わり方

この作品は最初から最後までユーモアに溢れる書き口となっているのですが、読み終えてみるとそれも作者が意図してやっていたものだということがわかって唸りました。

このような雰囲気だからこそできる作品、という感じです。

あの終わらせ方はニクいですね。凄く好きなやつです。

総評(ネタバレなし)

複雑な密室状況が提示されますが、無難な落としどころで終わるのかなと思っていたら良い意味で裏切られました。驚かされましたし、終わらせ方が上手いのでとても満足感があります。

挿絵もあり人物把握もしやすく、訳文も読みやすいので海外ミステリに慣れていない人でもとても読みやすいと思います。

総評:★★★★☆

意表を突かれる真相(ここからネタバレ)

知り合いでは真相に気づいた人をちらほら見かけましたが、私は全く気づきませんでした(笑)

カニンガムが犯行を自白して、それじゃここから密室の謎を解くんだなと思っていたらそこからのどんでん返し。

いやーびっくりしました。

被害者が鍵を掛けるという真相自体は古典的なものですが、チープだとは感じませんでした。

おそらくそのワンアイデアだけでなく、被害者が鍵を掛けた後に探偵の銃によって殺されるというインパクトのある真相も重なっているからではないでしょうか。

気になる点はあるものの

本作品で気になる点を挙げるならば、手掛りの提示でしょう。

戸棚をずらすと銃弾があることに気づけるような伏線は貼られていません(……のはず。あったらすみません)。

ですので突然出てきた感がどうしても拭えません。

あと、その銃弾が発射されるに至ったわけもなかなか苦しいものがあります。

アリスは何をやっているんだ(笑)

……と、こんな感じで気になる点はあるものの、真相の意外性や物語の落としどころが上手いので、個人的にはそれほど大きな減点対象ではないという感想です。

ある台詞が良く効いている

 

この作品のラストで、ヴェリティがこう語ります。

「(前略)きみも知ってるように、わたしは終始殺人者の側に立っていると宣言してきた。だれにもそのことを隠そうとしなかったが、それでもだれ一人わたしを信じなかった。ただの一度でも額面通りに受け取ってもらえるというのは、じつに気分がいいものだよ」 

この言葉はラストだけでなく物語の途中でも出てきます。

それが出てきた時は、「ふーん」くらいにしか思っていなかったんですが、最後でその言葉が出てきた時、やられた!って思いました。

まさか文字通りの意味で最後にこう効いてくるとは。

こう、台詞で最後に回収してくるタイプのやられると弱いです。とても好み。

これは、上の(ネタバレなしの感想のところで)書きましたが、ユーモアに溢れた雰囲気だからこそこの終わり方が成立する作品なんだと思います。

だって、終始真面目な雰囲気で最後に探偵が被害者を銃殺していました、ってなったら普通は重苦しい雰囲気のまま終わるじゃないですか、絶対。

でもこの作品は驚くほど爽やかな終わり方で、むしろ「探偵が被害者を殺してしまった」という要素を探偵の想いに絡めて昇華させてみせました。感服です。

総評(ネタバレあり)

本作は、被害者が鍵を掛けるという古典的な要素を、非常に上手く料理した作品だと感じました。様々な事象を組み合わせることによって、この真相には容易に到達できないようになっていると思います。

「衣裳戸棚の女」というタイトルもミスリードとして優秀だと思います。私が見事に引っかかりましたので。

真相のインパクトも十分ですし、それを探偵の想いに繋げて良い読後感で終わらせたのには仰天しました。とても面白かったです。