四葉ボックス

四葉ボックス

いろんな物をつめこんだおもちゃ箱

『ことのはロジック』皆藤黒助 感想

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四猿の間違い

伝言ゲームのように、伝えられたメッセージが異なった伝達をされていくのですが、それが四段重ねになっているのだから驚きです。この謎でここまで料理できるのかというのがとにかく凄い。まだこの謎に続きがあるのか!? と何回もびっくりさせられました。栃木に住んでいて日光東照宮の猿は知っていましたが四猿は初めて聞きました。

読み方のわからない幽霊漢字「彁」の読み方を推理するというエピソード。

いったん推理がまとまったように見えたところから更に先があるのに気づいて、このエピソードでは不安になりました(シリアスに切り替わりそうなことを察知したので)。母親のほうに緊急事態があったものと思いましたが、赤ちゃんのほうでした。いずれにせよ辛い真相です。最後に戒名ということを推理したときは頭を打たれたような気分になりましたが、最後は少し救われる終わり方でした。

黄昏を消して

面白そうな暗号だったので挑戦しました。かなり苦戦しましたが答えに到達できました。たそかれ、の文字が下に集中していることや、ヒカリが盲目であること、主人公の名前を変えたことなどからピンときました。肇の最後の修正ペンのヒントは実に見事でした。それで軌道修正して、確信をもって推理できました。残ったほうでなく消したほうを点字に見立てるというのが面白いです。2人の暗号に込められたそれぞれの想いが良かったです。この暗号、作るの物凄く大変だったのではと思います。

月は綺麗ですか?

ここまでのアキの違和感に隠された真実が明かされるパートです。こんばんは、を知らなかったり、お手上げを忘れていたりということから、双子なのかと思っていたのですが全く違いました。アキが話していなかった発音のくだりは、ミステリ作家原作の某ジャンプ漫画のあれっぽさがありますが、これに気づくのは困難だと思われます。しかし、去り際の挨拶で肇が違和感を感じていることは示されているので、考えるきっかけはありそうです。

アキの真実に気づいた肇が、リスクを無視して突っ走るラストが青春でとても良かったです。内気なって言っているけれども、あの言葉は攻めてると思いますが! もはやプロポーズでは。そこからコメディに転換して終わると思われたところで、タイトルを持ってくるのだからズルいです。最高でした。